クロスワイヤーネット
概要
浮石や転石が滑動や転落しないように、格子状にしたワイヤロープや数本のワイヤロープ等を用 いて直接浮石などの基部を覆ったり、掛けたりして斜面上に固定させる工法です。
特徴
- ●斜面の浮石や転石を安定させます。
- ●資材が軽量なので施工性に優れています。
- ●現地の状況によってロープ間隔や種類を変更できます。
- ●他の落石防護製品との併用でさらに安全性が高まります。
- ●最小限の伐採で施工ができるので自然への損傷も軽微です。
設計の手順
落石パターンの分類
A型
- ●斜面上に広く点在する岩塊を対象とする。
- ●比較的小規模の岩塊に適しています。
- ●全体面積での荷重検討やブロック単位での荷重検討を行い最適な構成部材を決定する。
B型
- ●比較的大きな単体または少数の岩塊を対象とする。
- ●岩塊を包み込むようにロープを配置する。
- ●荷重検討を行い最適な構成部材を決定する。
C型
- ●亀裂が多く、ロープ間隔よりも小さな岩塊が剥落する恐れがある場合、A・Bタイプに併用して金網を設置する。
※実斜面は、上記パターンの中間的な状況が多くA・B・Cを柔軟に組み合せて選択する必要があります。
- A型:ロープ掛工タイプ
- B型:ロープ伏工タイプ
標準図
記号 | 品名 | 規格 | 備考 |
---|---|---|---|
縦主ロープ | 3×7G/O φ12mm | ||
横主ロープ | 3×7G/O φ12mm | ||
縦補助ロープ | 3×7G/O φ12mm | ||
横補助ロープ | 3×7G/O φ12mm | ||
巻付グリップ | 3×7G/O φ12mm用 | 控除量=0.175m/1本 | |
クロスクリップ | 小 | ||
アンカークリップ | 160×65 | ワイヤロープ緊結型 | |
押え金具 | 100×100 | ワイヤロープ遊動型 | |
ターンバックル | φ22 | 控除量=0.8m/1本 | |
セメントアンカー | D22×1000(1500) | 端部 岩盤用 | |
自穿孔アンカー | φ28.5×1000(1500) | 端部 土砂+岩盤用 | |
羽根付アンカー | D25×1500 | 端部 土砂部用(10kN用) | |
組立アンカー | D25×1500×4本組 | 端部 土砂部用(20kN用) | |
高耐力アンカー | H-100×50×5×7 L=1500(2000) | 端部 土砂部用(35kN用) | |
セメントアンカー | D22×1000(1500) | 中間部 岩盤用 | |
自穿孔アンカー | φ28.5×1000(1500) | 中間部 土砂+岩盤用 |
- ●上記ロープ間隔等寸法は一例であり、現地状況に応じて変更する必要があります。
- ●ワイヤロープ径はφ12・14・16・18mmの各サイズがあります。適宜お選びください。
- ●アンカー種類及び設置位置は現地地盤特性に応じて、適宜変更する必要があります。
- ●金網併用時(C型)は結合コイルを1ヶ/m(縦・横主ロープ)取り付けます。
- ●クロスクリップが巻付グリップに干渉する場所にはクロスクリップ(大)をお選びください。
部材詳細図
ワイヤロープ
JIS G 3525準拠
構造 | 径 | 破断荷重 | 亜鉛付着量 |
---|---|---|---|
3×7G/O | 12㎜ | 78.8kN | 165g/㎡ |
14㎜ | 109kN | 190g/㎡ | |
16㎜ | 139kN | 220g/㎡ | |
18㎜ | 157kN | (300g)220g/㎡ | |
●ワイヤーロープの外径 = 実測値 × 1.1549(補正係数) | |||
●耐食性に優れた亜鉛アルミ合金めっき・厚めっきタイプや景観に調和した環境色タイプの製品も有ります。 |
巻付グリップ
JIS G 3506
径 | 表示 | L1 | L2 | L3 | D |
---|---|---|---|---|---|
12㎜ | 黄 | 900 | 160 | 30 | 40 |
14㎜ | 緑 | 1000 | 200 | 30 | 50 |
16㎜ | 赤 | 1100 | 200 | 30 | 50 |
18㎜ | 黑 | 1300 | 200 | 30 | 50 |
●耐食性に優れた亜鉛アルミ合金めっきや景観に調和した環境色タイプの製品も有ります。 |
金網
JIS G 3552(ひし形金網)
※C型(金網併用タイプ)のみ使用
線径 | 網目 | 備考 |
---|---|---|
φ2.6㎜ | 50㎜目 | 通常タイプ |
φ3.2㎜ | 中負荷タイプ | |
φ4.0㎜ | 高負荷タイプ | |
●耐食性に優れた亜鉛アルミ合金めっき・厚めっきタイプや景観に調和した環境色タイプの製品も有ります。 | ||
●網目は、現場に合わせて調節できます。ご相談下さい。 |
結合コイル
JIS G 3548
※C型(金網併用タイプ)のみ使用
高耐力アンカー
JIS G 3101 溶融亜鉛めっき
※土砂部用アンカーの耐力は、土質によって異なるため現地にて耐力試験を実施して実耐力を確認して下さい。
施工手順
① 準備工
- ●斜面整理工(下草伐採・浮石除去)など
- ●芯出し(アンカー打設位置・ワイヤロープ設置箇所のマーキング)
- ●材料搬入・持ち上げ・小運搬(モノレールやウィンチ、人力で作業箇所に運搬する)
※転倒や転落事故防止の為、人力運搬が最小限になるよう事前に仮設計画を十分検討する
クロスクリップが巻付グリップに干渉する場所にはクロスクリップ(大)をお選びください。
【実測・清掃、片付け】
●部材取付忘れ、締め忘れがないか点検を行う。